議事録づくり、無料でどこまで? 介護ベンダー製AIに払う価値を現場PTが整理【2026年版】

議事録づくり、無料でどこまで? 介護ベンダー製AIに払う価値を現場PTが整理【2026年版】


目次
    1. 1)NotebookLM(Google・無料)
    2. 2)オトノート(TRUE NORTH・完全無料)
    3. 3)Notta(無料枠:月120分)
    1. 1)Otolio(旧スマート書記)
    2. 2)Rimo Voice

結論を先に書きます。

会議やカンファの議事録をAIで作るツールは数が多くて迷いますが、現場が検討する順に「無料 → 汎用の商品 → 医療介護ベンダー製」の3階層で並べると、選び方はシンプルになります。

  • 無料のNotebookLMでも、録音から文字起こし、要約、コピペまでは十分にできる
  • 有料のベンダー製ツールの正体は、無料層で唯一残る「様式に整えて書類にする最後の一手間」を自動でやってくれること
  • だから「サービス担当者会議録などの様式」「介護用語の辞書」「介護ソフトとの連携」のどれかが要るようになるまでは、無料層で足りる

この記事で扱うもの:

私自身、施設の委員会議事録はスマホ録音とNotebookLMだけで回しています。そのうえで「どこから有料を考えるべきか」を、現場の管理職目線で整理します。まずは「なぜ議事録から始めるのか」から。

なぜ議事録づくりはAIが一番効くのか

議事録は、AIと相性が良い業務の代表です。理由は、やることが「録音する → 文字に起こす → 決まった様式に整える」という定型作業だからです。

リハビリの個別評価や家族への説明と違って、議事録には個人ごとの判断がほとんど要りません。会議で出た発言を、漏れなく、読みやすく、決まった形にまとめる。この「整える」工程こそ、AIが得意とするところです。

実際、音声入力は国の医療介護AI方針でも柱の一つに挙げられています(この背景は別の記事で書きました)。ただ、方針の話より現場で知りたいのは「で、どのツールを使えばいいのか」のはずです。ここからはその選択に踏み込みます。

議事録AIは「3階層」で考えると迷わない

ツールを一覧で並べると数十個あって選べません。そこで、現場が実際に検討する順番で3つの層に分けます。

  1. 第1層 無料で始める層 ── NotebookLM、Notta無料、オトノート
  2. 第2層 汎用の商品層 ── Otolio(旧スマート書記)、Rimo Voice ほか
  3. 第3層 医療介護ベンダー製層 ── ミルモレコーダー、AI介護議事録(カナミック)、noman、むすぼなAI

ポイントは、層が上がるほど「介護の決まった様式」「介護・医療の専門用語辞書」「記録ソフトとの連携」が強くなる代わりに、コストがかかることです。逆に言えば、この3つが要らないうちは、上の層にお金を払う理由はありません。

上の層に行くほど「介護専用の機能」が増える。だから、自分にその機能が要るかどうかで層を選ぶ。

第1層:無料でどこまでできるか

まず知ってほしいのは、無料でもかなりのところまでできることです。

NotebookLM(Google・無料)

スマホで録音した音声をアップロードし、文字起こしと要約をさせる使い方です。私はこの方法で施設の委員会議事録を作っています。流れはこうです。

  1. スマートフォンで会議を録音
  2. NotebookLMに音声を読み込ませて文字起こし
  3. 要約させて、必要な部分を議事録のひな型にコピペ

正直、文字起こしの精度は悪くありません。困っているのは一点だけで、要約から「提出する書類の様式」に整えるところで、もう一手間かかることです。逆に言えば、その一手間さえ許せるなら、無料で議事録は完成します。NotebookLMでの議事録づくりの手順は、議事録AIシリーズで詳しく書いています。

手書きで夜遅くまで議事録を書く様子と、AIで整えた議事録を見て一息つく様子の対比

手書きで残していた頃と比べると、テキストで残るぶん保管も後からの検索もしやすくなりました。

オトノート(TRUE NORTH・完全無料)

介護現場に特化しているのに完全無料という、めずらしいツールです。メールアドレスを登録するだけで全機能が使えます。朝礼・夕礼、ケース会議、委員会、ヒヤリハット・事故報告など、介護現場でよくある場面のテンプレートが用意されているのが強みです。音声データは文字起こしの処理が終わると破棄される、と明記されています。

Notta(無料枠:月120分)

日本語に強い文字起こしツールです。無料だと月120分、AI要約は月10回までですが、Web会議の議事録を試すには十分です。「お試しして、よければ有料へ」という入口に向いています。

ここまでが無料層です。私の実感として、個人名が出ない委員会議事録のような用途なら、無料層で完結できます。

第2層:汎用の商品はどこが違うのか

無料層から一段上がると、月数千円の「商品」になります。違いは、精度・様式テンプレート・セキュリティの契約がはっきりすることです。

Otolio(旧スマート書記)

セキュリティ訴求がはっきりしているツールです。入力した機密情報を学習に使わない、データは国内のデータセンターで保管する、ISO27001を取得している、と公表しています。14日間の無料トライアルがあります。医療や法務など、扱う情報に気をつかう現場で選ばれてきた背景があります。

Rimo Voice

日本語の精度と、ブラウザだけで完結する手軽さが評価されているツールです。介護で効いてくるのは、「担当者会議録」「モニタリングシート」といった施設の決まった様式に合わせる、カスタムテンプレート機能です。利用者名や専門用語を辞書登録できるので、固有名詞の誤変換を減らせます。編集履歴が自動で残るため、改ざん防止にもなります。60分の無料トライアルがあります。

汎用の商品層は、「Web会議や運営会議が多く、無料層の精度や様式に物足りなさが出てきた」段階で検討する層です。

第3層:医療介護ベンダー製(ここが本題)

そして、介護の現場に最適化された専用ツールがこの層です。最大の特徴は、議事録を最初から「介護の様式」で出してくれることです。私が無料層で感じている「最後の一手間」を、ツール側が引き受けてくれる、と言い換えてもいいです。

主なツールを比較します(料金は2026年6月時点の公開情報。非公開のものは要問合せ)。

ツール提供会社料金(2026年6月時点・公開分)介護様式・特徴
ミルモレコーダーウェルモ月3,000円/40時間(キャンペーン)・無料お試しありSOAP・F-SOAIPなど介護様式のテンプレ。ICD10病名辞書。サービス担当者会議録・モニタリング・支援経過に対応
AI介護議事録カナミック要問合せ介護ソフト内で完結(業界初)。サービス担当者会議・ケアカンファ対応。1件30〜60分の作業が確認のみに
noman提供元・料金は要問合せ要問合せ記録時間が約3分の1に。残業30時間→6時間の事例。行政監査の様式に対応。手書きメモやPDFからも生成
むすぼなAIやさしい手従量制:サービス担当者会議録1件5円・月175件で約5,000〜8,000円介護医療特化。法人ごとに専用クラウド環境。利用者10万人

注目したいのは2つの極端な例です。

一つは、むすぼなAIの「1件5円」という従量課金。月175件作っても5,000〜8,000円という、はっきりした値段が出ています。「議事録1本にいくら払うか」で考えられるので、コスト感がつかみやすい料金体系です。

もう一つは、すでに紹介したオトノートが介護特化なのに完全無料であること。つまり「介護専用=必ず高い」ではありません。

ベンダー製の価値を整理すると、次の3点に集約されます。

  1. 議事録が最初から介護の様式(サービス担当者会議録・モニタリング)で出てくる
  2. 介護・医療の専門用語を辞書で正しく変換してくれる
  3. 使っている介護ソフトと連携して、記録まで一気通貫になる

この3点のどれかが「欲しい」と思えるかどうかが、有料を検討する分かれ目です。

あなたはどの層から始めるべきか(3つの質問)

層の選び方を、3つの質問にしました。上から順に答えてください。

3つの質問で議事録ツールの層を振り分ける判断フロー図

  1. 議事録に決まった様式(サービス担当者会議録・モニタリング・SOAPなど)が要りますか?
    • いいえ → 第1層(無料)で十分です
    • はい → 次の質問へ
  2. いま使っている介護ソフトと、議事録を連携させたいですか?
    • はい → そのソフトのベンダー製(例:カナミックならAI介護議事録)
    • いいえ → 次の質問へ
  3. 介護用語の変換精度に、いま不満がありますか?
    • はい → 介護辞書つきのベンダー製(ミルモレコーダー・むすぼなAI)
    • いいえ → 汎用の商品層(Rimo Voice・Otolio)か、無料層の継続

規模ごとの目安も書いておきます。

  • 個人ケアマネ・小規模事業所:まず無料層(NotebookLM・オトノート)。様式が要るなら従量制のむすぼなAI
  • 中〜大規模法人:使っている介護ソフトとの連携で選ぶ。連携ベンダーのAI議事録が第一候補
  • 病院・医療寄り:セキュリティ重視でOtolio、または医療辞書のある専用ツール

活用法:無料層でも「書類」に寄せるプロンプト

「まだ無料層で粘りたい」という人向けに、私が困っている「最後の一手間」を減らすコツを書きます。文字起こしや要約を、最初から議事録の様式に寄せてしまうやり方です。AIへの指示(プロンプト)を具体的にするだけで、整える手間がかなり減ります。

サービス担当者会議録のように様式が決まっているなら、こう指示します。

次の文字起こしを、介護のサービス担当者会議録の形式に整えてください。
出力は以下の項目立てにしてください。
1. 開催日時・出席者(役割つき)
2. 利用者の現状(ADL・課題)
3. 検討した内容
4. 決定事項
5. 各サービスの役割分担と次回までの宿題
※利用者氏名は「A氏」、固有の施設名・人名は伏せ字にしてください。
読み手は多忙なケアマネ。前置きは省き、事実ベースで簡潔に。

私の場合、議事録は委員会のものが中心で、用途によってAIも使い分けています。議事録や手順書はNotebookLM、会議で決まった予定の登録はGeminiに音声で入れてGoogleカレンダーへ、という具合です。専用ツールを入れなくても、こうした指示の工夫で、無料層の出力を「あと少しで書類」のところまで持っていけます。

それでも様式への変換が毎回ストレスになるなら、それはベンダー製にお金を払うサインです。手間と料金を天秤にかける、という判断になります。

注意点:議事録は個人情報の塊になりやすい

最後に、ツール選び以前の大事な話をします。議事録には、利用者名・病名・家族の背景といった、特に慎重に扱うべき個人情報が入りやすいということです。

ここで、私自身のケースと比べてみてください。

  • 私が作っているのは委員会の議事録で、個人名が出ません。だから無料のクラウドAIでも、比較的安心して使えています
  • 一方、サービス担当者会議録は利用者名が前提です。同じ議事録でも、こちらは保存先や仮名化に気をつかう必要があります

同じ「議事録AI」でも、扱う会議に個人名が出るかどうかで、無料でいいか・契約の明確なベンダー製がいいかが変わります。無料のクラウドAIに利用者名をそのまま貼る前に、せめて次の2点は確認してください。

  1. そのサービスは、入力した内容を学習に使う設定になっていないか
  2. データの保存先はどこか(国内のデータセンターか)

ベンダー製ツールの価値の一つは、まさにここにあります。法人契約・国内保管・学習に使わない、という形で、個人情報を扱う前提で作られているからです。このあたりは「医療介護現場でAIに個人情報をどう扱うか」という別テーマなので、近く独立した記事で詳しく書きます。

まとめ

議事録AIの選び方を、3点に整理します。

  1. ツールは「無料 → 汎用の商品 → 医療介護ベンダー製」の3階層で考える
  2. 無料のNotebookLMやオトノートでも、議事録づくりはかなりのところまでできる
  3. 有料のベンダー製に払う価値は、「介護様式・専門辞書・記録ソフト連携」のどれかが要るかどうかで決まる

まずは無料層で「録音 → 文字起こし → 整える」の型を体験してみてください。そのうえで、様式への変換が毎回の負担になってきたら、そのときが有料を検討するタイミングです。

議事録を含めた音声入力ツール全体の地図は、こちらの記事でまとめています。

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